北海道歴史探訪

スキー

山本 裕雪 = 文

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2010.1.21

北海道の冬にスポーツといえば、スキーとスケートが上げられます。スケートは1877年の初めて北海道で行われています。一方スキーは、そこから遅れること約30年、北海道に持ち込まれました。

札幌にスキーが持ち込まれたのは、1906年・明治39年のことでした。当時の英国公使館付武官だったデルメーランド・キーフという人物よってです。

キーフは、スキーを札幌月寒の歩兵第二十五連隊の将校に寄贈しています。彼は、スキーが将来の冬季間の戦闘に欠くことの出来ない兵器であることを伝えたかったのだといいます。しかし、キーフのよる実地訓練は行われませんでした。

それから2年後の1908年・明治41年、農科大学のドイツ語講師のハンス・コラーが、アルパインスキーを持参しました。彼はスキー教本によってドイツ語教育をすると同時に、スキーの使用法も教えています。

しかし、コラーは実際のスキーはさほどうまくはなく、大学構内のクラーク博士の像があるスロープでも転倒するほどだったという逸話も残っています。

スキーを札幌に定着させたのは、学生たちでした。彼らは、持ち込まれたスキーをモデルにして、豊平橋近くにあった馬そり屋に和製第一号のスキーを造らせます。そして農学校構内のスロープで練習を始めていきました。

スキーを楽しみだした学生たちは、益々その魅力にのめりこんでいくことになります。大学構内・クラークの坂での滑りだけに満足せず、当時ただ一つのスキー場だった馬場牧場、ナマコ山などへ行って練習を行います。

やがて彼らは、三角山へも足を伸ばすようになります。

そんな1912年・明治45年2月、旭川野砲兵第七連隊付の将校として、レルヒ中佐が来道します。中佐は、約半年間旭川に在任して、旭川の将校たちにアルパインスキーを教えました。

中佐から教わり帰札した月寒二十五連隊の将校たちは、1913年3月に札幌郊外の月寒でさっそくレルヒ直伝のスキー講習会を開いています。参加者は農科大生などで、この講習会を機に札幌のスキー熱は急カーブで上昇し始めたといいます。

このころのスキーは、金具の先に大きなスプリングがついていて、靴の下には重たい鉄板をくくりつけてはくタイプのものでした。そのスキーは重く、歩くスキーには向かないものでした。

しかも手には1本杖だけが握られていました。現代でいうストックが1本だけでスキーが行われていたのです。

そんな創成期のアルパインスキーが、しばらく主流を成していましたたが、1916年・大正5年、画期的なことが起ります。

大正5年、農科大学水産学科の遠藤吉三郎教授がノルウェー留学から帰国して、二本杖のノルウェー式スキーを持ち帰ります。教授は本格的なノルウェー式スキーを学生たちに教えていきました。

ノルウェー式スキーは、金具と締め具から成っており、アルパインスキーより、はるかに行動がスムーズで、テレマーク、クリスチャニアなどの回転技術の習得が簡単でした。

学生たちは、このスキーに飛びつきます。瞬く間にアルパインスキーを抜き去り、ノルウェー式スキーの全盛期となっていきました。

学生たちは新しいタイプのスキーで、三角山、ナマコ山周辺でクリスチャニア、テレマークで滑りまくります。そうしているうちに、ただ滑ることだけでは飽き足らなくなっていきました。

ノルウェー式スキーを持ち込んだ遠藤吉三郎教授は、彼らスキーが単に滑ったり、曲げたりするものではなく、“飛ぶ”ことも術の一つであると説いたといいます。そして、そのためにはジャンプ台が無ければ技術が進歩しないと力説しました。

学生たちは、この親切に大きな刺激を受けます。彼らはすぐに、三角山のふもとに仮設のシルバーシャンツェを造り、スキージャンプの研究を開始します。

このシルバーシャンツェは20m級でした。このシャンツェに続いて、15メートル級のアルファーシャンツェも、三角山一帯に造られます。あたりは札幌のスキーの中心地としてスキーヤーが集まりようになっていきます。

さらに、掘っ立て小屋の休憩所、豚汁などを食べさせてくれる店もだされ、現代のスキー場のような形態も出現しています。

シルバーシャンツェは1922年・大正11年になって改造され、櫓を組んでアプローチを延長、スケールを大きくし、30m級のものになります。

このころになると学生たちは、札幌こそジャンプの本家と自認するようになっていました。彼らはさらに規模の大きな大シャンツェ建設を札幌市に要請しています。

札幌市はこれにこたえ、シルバーシャンツェよりも、もっと三角山に寄った地点に、アプローチ65m、ランディングバーン50m、最大斜度31度といわれた札幌シャンツェの建設に踏み切りました。

このような背景で札幌はスキー、そしてジャンプ競技に熱が入っていくことになります。

現在、スキーは北海道の子どもたちが冬にもっとも親しむスポーツではないでしょうか。その大人から子どもまで楽しめるスポーツは、その発祥に、北海道の学生たちのさかんな冒険心が影響していたといえるでしょう。

参考文献

冬のスポーツ さっぽろ文庫

インターネット資料



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